タイ・カンボジアの陶磁器・民族衣装など歴史的遺産の宝庫・ヨコタ博物館

※1:バンチェン彩文土器
※2:スコータイ 鉄絵合子
※3:クメール 黒褐釉三層口緑壺
※4:サワンカローク 青磁人象壺

たった三つのバンチェン陶磁器から始まったヨコタ博物館。当時、まだ内戦の色濃い危険な情勢のラオスがまさに運命の地でした。おおらかなタイの人々の人柄に魅せられ、それまでも数回タイを訪れていた故館長ですが、バンチェン陶磁器に出会ってから日本とタイを行ったり来たりする生活が続き、1963年に38歳で初めてタイの土を踏んでから、2002年に77歳で永眠するまでの39年間で、実に300回以上渡航を重ね、約1万点以上のアジアの伝統文化の品々を収集。

ここヨコタ博物館には、政情の定まらぬタイ・カンボジアをはじめとするアジアの歴史的文化遺産が欧米諸国へ離散することを恐れ、故館長が私財をなげうち守り続けた約4,000点のタイ・カンボジアの貴重な陶磁器が収蔵・展示されています。その学術的価値は著名な専門家達を唸らせるものであり、これらを守り続けた故横田館長の姿勢はカンボジアの元文化大臣をして、『さまざまな国の本国にはほとんどなくなってしまっている文化遺産をこれほど良い状態で保存し、同時に日本人にそれらの文化を紹介していただいていることに対して代表として心よりお礼を言うと共に横田館長のボランタリズム溢れる活動を賞賛します』と言わしめました。

ヨコタ博物館に収蔵されている、タイ最古のバンチェン土器、タイ最初の王朝スコータイ時代のスコータイ窯の陶磁器、日本の茶道と馴染みの深い宋胡録焼、タイで統一国家が成立する以前のカンボジア・アンコール王朝のものでバンチェン土器に影響を与えたクメール陶磁器これらの中には、故横田館長の『国が平和になり、自国の文化遺産を守り伝えていく環境が整ったなら、陶磁器を各国へ里帰りさせ、自国の文化交流と歴史研究に貢献させたい。』という想いを受け、遠く故郷の国立博物館へ寄贈されたものもあります。長い年月と膨大な労力をかけて守り続けた故横田館長の労苦が報われた、貴重な瞬間でもありました。

故横田館長自らの足でタイ・カンボジア内に遺る窯跡を訪ね歩き、半生のすべてをかけて取り組んだヨコタ博物館は、国内外において最もタイ及びカンボジアの歴史的文化遺産が収蔵されている博物館です。ここでなければ目にすることのできない貴重な文化遺産が数多く収蔵・展示されています。スタッフに声をかけていただければ、陶磁器についてより詳細な説明をさせていただきます。お気軽にどうぞ。

※4:スコータイ窯跡
※5・6:カンボジアへのクメール陶磁器寄贈の当時の新聞記事